ストーリーをつくる


 ストーリーのつくり方はたくさんあると思うのですが、ここではハコガキをつくる、という方法を使ってみようと思います。

 ある程度書きたい話ができている人、早速ハコガキを作ってみましょう。ハコガキというのは場面ごとにそのあらましを書いたものです。カードを数枚用意します。メモ用紙やコピー用紙を切ったものでかまいません。

 一場面につき一枚使います。場面の区切り方としては人物が変わるとき、場所が変わるとき、時間が変わるとき、と考えてください。カードに時間、場所、人物、できごと、主なセリフ、の五つを書き込んでいきます。これを場面の数にあわせて作ります。

時間:親父が死ぬ日の夕方

場所:病院のロビー

人物:僕、兄貴

できごと:僕と兄貴が相撲をとっている。兄貴は何度投げられてもかかってくる。

セリフ:「覚えているか? 昔、お前も親父にこうして何度も何度も、がむしゃらにかかっていったんだ」

 こんな感じです。これは実際に私が書いた作品の一部を取り出したものです。

一つ、これに問題点があります。分かりますか? (この作品を書くとき、私自身気づいていませんでした)時間、があいまいなことです。親父か死ぬ日、いつでしょう? 季節は? 季節、大事です。これによって風景の描写も変わってきますし、服装も変わってきます。そこまで考えて作るのですよ。

もう一つ、補足します。カードに時間を書くとき、どのカードの場面が『今』なのか、はっきり意識しましょう。もちろん、どのカードにも『今』がない小説もありえます。

 ハコガキができたら、机の上に並べてみます。これを検討しましょう。流れの悪いところはありませんか? 何かおかしいな、まだダメだな、そう思ったら、カードを並び替えたり、余計なカードを削る、新しいカードを付け加える、という作業を繰り返します。

 全体がすっきりしました。これでオッケー。いよいよ小説を書きます。

さて、順番が逆になりましたが、書きたい話がまだできてないよ、っていう方。簡単な方法を紹介します。主人公、登場人物は決まっていますか? 主人公だけでも結構です。 仮に主人公を『僕』とします。『僕が……する』という文章を作ってみましょう。

  • 僕が旅をする

  • 僕が花を植える

  • 僕が友達を助ける

これだけで十分小説になるんです。でもちょっとありきたりです。ひねってみましょう。

  • 僕が生き返る

  • 僕が神様になる

ファンタジー小説ができそうです。

もっと簡単に。今度は仮に主人公をサンタクロース、とします。

  • サンタクロースがプレゼントをもらう

  • サンタクロースが泥棒をする

気にいった文章が見つかったら、それを膨らませていきましょう。サンタクロースが泥棒をする。なぜですか? それはいつですか? 何を盗んだのですか? 盗まれた人はどうなりましたか? 盗んだサンタクロースは?

これで一つの話ができます。あとは上述のハコガキを作っていけばいいのです。


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